黎明紀
ザン

司書の注釈:

黎明紀の出来事は,マイケル・カークブライド氏によって,The Essential Siteに初めて投稿された。ここに投稿する許可を頂けたことをアンデル・クロド氏に感謝する。


〈宇宙〉(ナー)はアヌとパドメイによりアービス(混沌すなわち全体)から作られる。

アカトシュ(オーリエル)は生じ,〈時間〉が始まる。アヌとパドメイによる創造をめぐる大戦おおいくさの後,彼らの血から〈神々〉(エト'アダ)とデイドラは肉をそなえて現れる。

ローカンは〈神々〉を説き伏せまたは欺き,定命の次元ナーンを創らせる。定命の次元は魔力が強くて危ない。〈神々〉が歩くにつれて,物理的構造や時間そのものさえ不安定になる。

この創造者・掻乱者トリックスター・試験者の神はタムリエルに伝わるあらゆる神話に登場する。彼の最も有名な名前はアルドマー語で「ローカン」,すなわち〈悲運の太鼓〉である。彼は〈原初の諸霊〉を説き伏せまたはたくらんで〈定命の次元〉を創らせ,現状を覆した──ちょうど,彼の父パドメイが〈原始の空間〉の宇宙に不安定をもたらしたように。世界が実体化すると,ローカンはみずからの神性の中心から分かたれ,ときには不本意ながら,エト'アダが創ったその世界をさまよう。これらの出来事についての解釈は文化によって大きく異なる。(『単一神話』

〈魔法〉(マグナス)──定命の世界の計画についての設計者──はこの計画の終了を決め,〈神々〉はアダマントの塔(ディレニの塔,既知ではタムリエル最古の建造物)に集まり為すべきことを決める。多く〔の〈神々〉〕は〈魔法〉と同時に去る。その他は留まり,身を捧げて別の姿に変わる(エルノフェイ)。ほとんどの説明では,ローカンは定命の領域への追放を宣告され,彼の心臓は引きちぎられ〈塔〉から投げ捨てられる。それの落ちるところに〈火山〉が生じる。(神話的意味での)〈魔法〉が去ると,〈宇宙〉は安定する。エルフの歴史が,ついに直線的な歴史が始まる(エルフ紀2500年)。

典拠:『単一神話』『アヌアド注解』『帝国の多様な信仰』