序文
Y.R.

たいそう厳しい伯父さま

いわゆる帝都(やつら人間のうぬぼれがもたらす前兆です)に駐在武官として着任する前に,ご助言に従いまして“辺境”のあちらこちらに──この新生帝国にもそれが獲得してきた諸々の地域にも滞在しました。

おまちがいなきように,タロス(今や輝けるシロディール〔帝国〕のタイバー・セプティムです)はなお昇り調子です。あの神託はひどく誤解されているのだと,もう私は信じております──セプティムは予言どおり本当にドラゴンボーンなのでしょう。マーはとうとう団結するべきところなのです,さもなければひとりずつ滅ぼされるでしょう。それを続ければあらゆる〈古の種〉の破滅につながるであろう不干渉主義というアンデル・クロドの方針に対して,父(その名の数的神秘に祝福あれ)はサルモールにおいて数少ない反対者のひとりでした。現在の任務が父の跡を継ごうとしない私への罰として目論もくろまれたことは理解していますが,私的ないさかいには目をおつむりいただいて私の発見を議会全体にお伝えくださるようにお願いします。

セプティム政権による公的プロパガンダの一例として,この冊子をお送りします──これに加えた注釈が基づいているところは私自身の観察であり,年齢と分別によって鍛錬されてはおりませんが,それでも素朴な旅人によるひとつの記録として価値あるものです。

──YR